1948年、オーストラリアの海岸に打ち上げられた身元不明の男性。
彼が残したメッセージは、たった2語──Tamam Shud(タマムシュッド)
これは単なる変死体なのか、それともスパイ事件なのか?
真相は75年以上経った今も、闇の中にある。
Chapter1 タマムシュッド事件の概要
事件が起きた場所と日時
- 発生日時:1948年12月1日
- 発生場所:南オーストラリア州・アデレード、サマートン・ビーチ
この日、砂浜でスーツ姿の男性の遺体が発見されました。
外傷もなく、穏やかな表情のまま亡くなっていた男。
彼の死は、今もなお解かれていない「未解決事件」として知られています。
発見された遺体の特徴
- 年齢:40〜50代の男性
- 身長:約180cm、体格は健康的
- 服装:スーツにネクタイ(だがすべてのタグが切られていた)
- 所持品:タバコ、マッチ、櫛、小銭など(身元を示すものは一切なし)
検死では毒物死の可能性が指摘されましたが、毒物の特定には至っていません。
Chapter2 タマムシュッドの意味と紙片の謎
“Tamam Shud”とは一体……
警察が男のズボンの隠しポケットから発見した一枚の紙片。
そこには、謎めいた文字──**「Tamam Shud」**が書かれていました。
これはペルシャ語で**「終わり」「完結」**を意味する言葉で、
詩集『ルバイヤート(オマル・ハイヤーム著)』の最終ページに記されているものでした。
詩集の発見とさらなる謎
数週間後、警察は近隣の車の座席から該当する『ルバイヤート』の本を発見。
その最終ページは、ちょうど「Tamam Shud」の部分だけ破り取られていたのです。
さらに、その本の裏表紙には…
- 意味不明な英字の羅列(暗号と思われる)
- 女性の電話番号
が書き込まれていました。
Chapter3 暗号と女性の存在──スパイ説の浮上
解けない暗号
本に記されていた文字列は以下のようなものでした

Wikipediaより引用
タマム・シュッド事件 - Wikipedia
この暗号は、オーストラリアの専門家たちによっても完全解読されていません。
電話番号の女性:ジョー・トンプソン
この番号の持ち主は、ジョー・トンプソンという元看護師。
彼女は「男を知らない」と証言しましたが、明らかに動揺しており、
男との関係が疑われました。
彼女の家は遺体発見現場から徒歩圏内。
さらに、彼女がかつて『ルバイヤート』を恋人にプレゼントしていた事実も判明しています。
発見された遺体の場所、ジョートンプソンの家、本の見つかった車の位置の関係は以下の通りです。
要素 | 内容 |
---|---|
🟥 サマートン・ビーチ | 遺体発見現場(アデレード南部) |
🟩 ジョー・トンプソンの家 | 遺体現場から徒歩圏内 |
🚗 ルバイヤートの本が見つかった車の位置 | 近隣駐車場または市街地 |
被害者の男はスパイだったのか?
これらの謎が重なり、浮上したのが「スパイ説」です。
- 男は健康な体格で、まるで訓練された軍人のようだった
- 死因は毒殺の可能性が高い
- 服のタグが切り取られている(身元隠し)
- 暗号、詩集、不可解な女性との関係
第二次世界大戦後、冷戦時代の真っ只中。
この事件は、まさにスパイ小説そのものだったのです。
Chapter4 身元の特定とDNA解析の進展
2022年、ついに名前が判明
70年以上も身元不明だったこの男性ですが、2022年──大きな進展がありました。
オーストラリアの研究者が最新のDNA解析により、
遺体の男は**カール・チャールズ・ウェブ(Carl Charles Webb)**である可能性が高いと発表。
- 1905年生まれの電気技師
- 暗号や詩に興味を持っていた
- 当時は精神的に不安定だったという報告もあり
残念ながら、死の理由や経緯は今も不明のままです。
時系列
日付 | 出来事 |
---|---|
1948年11月30日 夜 | 男性が目撃される(列車駅など) |
同年12月1日 早朝 | サマートン・ビーチで遺体発見 |
数週間後 | ポケットから「Tamam Shud」の紙片 |
1949年 | ルバイヤートの本を発見、暗号と電話番号 |
数十年未解決 | ジョー・トンプソンとの関係不明 |
2022年 | DNA解析でカール・チャールズ・ウェブと推定 |
Chapter5 タマムシュッド事件の真相は?
「Tamam Shud」──それは「終わり」の意味。
だが、男の人生の終わりは誰の手によってもたらされたのか?
なぜ詩の紙片を持っていたのか?
なぜラベルを切り取ったのか?
そして、男は自ら命を絶ったのか。
それとも他人によって「終わらされた」のか。
答えは、いまだ誰にもわからないのです。
まとめ:タマムシュッド事件はなぜ語り継がれるのか?
- 未解決のまま70年以上が経過
- スパイ小説さながらの状況
- DNAで判明した新事実
- そして、どこか詩的な「終わり」の言葉
この事件は、ミステリー好き・都市伝説ファンの心をつかんで離しません。
あなたなら、この謎にどんな結末を描くでしょうか?
Tamam Shud──終わり。
でもこの物語の魅力は、まだ終わっていません。
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