1988年、名古屋市で発生した一件の凄惨な殺人事件。
被害者は、当時29歳の妊婦。
彼女は何者かに襲われ、お腹を切り裂かれた状態で発見されました。
しかし、ただの殺人ではなかった——。
遺体からは、生まれてくるはずだった胎児だけが、跡形もなく消えていたのです。
この不可解すぎる事件は、今もなお未解決のまま。
まるで都市伝説のような陰惨なその全貌に、迫ります。
【事件の概要】妊婦が「胎児だけを奪われる」という異常な犯行
事件が発覚したのは、1988年3月18日。
場所は愛知県名古屋市千種区のマンションの一室。
そこに住んでいたのは、当時29歳の主婦・Aさん。
彼女は妊娠9ヶ月目で、間もなく出産を控えていた時期でした。
その日、夫が帰宅すると、部屋の中で倒れているAさんを発見します。
Aさんはすでに死亡しており、お腹は深く切り裂かれた状態。
そして——
そこにあるべきはずの胎児は、まるで手術されたかのようにきれいに取り出され、姿を消していたのです。
財布や貴重品に手はつけられておらず、物盗りの形跡もなし。
殺人の動機は不明。
それどころか、胎児だけを「目的として奪った」としか思えない犯行。
まさに常軌を逸した事件でした。
【捜査状況と手がかり】プロの犯行?宗教団体?さまざまな説が浮上
警察はただちに捜査を開始。
胎児が奪われていたことから、次のような仮説が立てられました。
● 犯人は医療知識を持っている?
被害者の腹部は、素人が刃物でめった刺しにしたような雑なものではなく、
「まるで帝王切開のような」正確さで切開されていたといいます。
そのため、犯人は医師・看護師・獣医・助産師など、
医療に精通した人物である可能性が高いとされました。
しかし、そうした人物に犯行の動機があるのか?
という問題は残ります。
● 新興宗教団体との関係説
当時、胎児を神聖視する新興宗教団体の存在が話題になっており、
「胎児を儀式や供物として必要としたのでは?」という説も浮上しました。
しかし、団体名や関与を裏付ける証拠はなく、
これは都市伝説レベルの噂にとどまっています。
● 子どもを産めない女性による犯行説
もう一つ注目されたのが、
「子どもがどうしても欲しいが、出産できない女性が胎児を奪ったのではないか」
という説。
つまり、妊婦を狙ってお腹の中の赤ちゃんを取り出し、
自分の子どもとして育てようとした……というものです。
実際、海外では似た事件がいくつも起きており、
特にアメリカでは、妊婦を襲って胎児だけを奪うという「妊婦切り裂き型事件」が何件も存在しています。
しかし、日本国内でこのような例は極めて稀であり、
また、奪われた胎児も行方不明のまま。
この説も決定打にはなりませんでした。
【事件が未解決の理由】あまりに異質な犯行ゆえに
捜査当局は、100人以上の関係者に聞き取りを行い、
近隣住民からの目撃証言や物証の洗い出しも徹底しました。
しかし、
・犯行時刻の特定が難しい
・鍵の破壊や侵入痕がない(=知人犯?)
・指紋や血痕なども検出されず
・胎児の発見にも至らず
といった数々の障壁により、
事件は核心に迫れないまま、時効を迎えてしまいました(当時の制度では殺人罪の公訴時効は25年)。
【ネット考察】犯人像に迫る仮説とは?
ネット上では、現在も事件に関する考察が多数展開されています。
代表的なものをいくつか紹介しましょう。
🧪 仮説1:元医療従事者の女性
→ 妊娠できない身体であることに苦しんでいた
→ 偶然にも近所に妊婦がいたことで計画を実行
→ 自分の子として育てようとしたが、何らかの理由で隠蔽?
🕵️♀️ 仮説2:被害者の身近な人物による犯行
→ 無理なく部屋に入れた=顔見知り説
→ 金銭や恨みではなく「生命そのもの」への執着が動機?
🕯 仮説3:宗教的またはオカルト的な犯行
→ 胎児を“生贄”として扱った儀式的殺人
→ 犯人は複数人、あるいは組織?
どの説も有力な証拠はありません。
しかし、これほど異常な事件に対し、誰もが「理由」を探したくなるのは自然なこと。
だからこそ、この事件は今もネット上で語り継がれているのです。
【事件の現在】胎児の行方は?真相は闇の中
2025年現在も、胎児の行方はわかっていません。
誰が、何のために、妊婦を殺し、お腹の子だけを奪ったのか。
事件は時効を迎えたものの、警察に寄せられる情報はゼロではないといいます。
被害者の遺族や関係者にとって、忘れることのできない痛み。
そして、社会に投げかけられた大きな問い——
「人間は、ここまで非道になれるのか?」
事件は終わっていません。
犯人が明かさない限り、本当の意味での解決は訪れないのです。
【まとめ】名古屋妊婦切り裂き事件が残したもの
名古屋妊婦切り裂き事件は、
日本犯罪史の中でも最も異質で、狂気に満ちた事件の一つです。
・妊婦だけを狙った
・医療的な知識を伴った犯行
・目的は金ではなく「胎児そのもの」
その背後には、個人的な狂気か、組織的な意図か、
はたまた全く予想外の理由があるのか——
真相は今も闇に沈んだままです。
この事件は、決して風化させてはならない記憶。
どんな理由があっても、命を奪って良い理由にはなりません。
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